わたしはベロニカ。ママがなにやら電話をしているのを注目しているダックスフントのおんなのこ。いつもとは何かが違うわ。
「あのう、トリミングの予約をしたいのですが・・・」
トリミング!?
生まれて8年と8ヶ月、そんな行事はわたしの人生になかったものを。なぜここへきて?ママは言ったわ。「あまりにも醜い。」と。これまでは分離不安症のわたしのためにママがカットしてきたのだけど。
そう8年と8ヶ月と齢を重ねたわたしが、最近、嫌なことは嫌とはっきり言うようになったから。この前もベランダのテーブルに乗せられてカットされそうになったから飛び降りてやったわ。
お散歩もよ。行きたくないものは行きたくないって言うようにしたの。
それにしてもトリミングなんてこわいわ。ママは電話を続けた。「あのう、変なお願いなんですがガラス越しでもいいので付き添っていいでしょうか?」と。
トリマーさんは答えたわ。「基本、それはお断りしています。」そりゃそうよね。でもねそのトリマーさんは他のトリマーさんと違ったの。ママもそう思ったからそのお店に電話をしたのよ。
「何か事情でもおありですか?」「はい、ひどい分離不安症で・・・」
「わかりました。最後までちゃんとできるか保障できませんが。今度の日曜日ならスタッフがそろっているので、来てください。」
人生初のトリミング、恐ろしすぎるわ。他人にはイヤっていいにくいし。そんな1日の始まりだったのだけど、気を取り直して今日は五月山公園までお出かけするのよ。
五月山といえば「五月山動物園」が有名だけど、あいにく犬はNGなので300円の通行料を払って山頂方面へ向かうわ。おでかけにはなるべくお金をつかわないでおこう的我が家にしては珍しいのだけど、
有料道路を使えば無料駐車場に車を停められて、有料道路を使わなければふもとの有料駐車場を使わなくてはならないシステムになっているの。
散策コースがいくつもあって、なかなか歩き甲斐がありそうよ。楽しいわ。
そして南側の展望台からは、瀬戸内海が見えるのよ。何でもそうだけど見晴らしがいいってことは素晴らしいことね。
こんなところなら、毎日でも来たいわ。いつもだったら「お弁当を作って来たらよかったね。」というママが珍しく「ポットのお湯とカップヌードルを持ってきたらよかったね。」と言ったわ。
だって雪がちらほら降っているもん。わたしはベロニカ。車の来ない山道は大好きだわ。