わたしは、ベロニカ。
朝から遊びに連れてってと訴えるおんなのこ。
さすが兄だわ。ちゃんと伝わっているもの。
「ベリーがどこかに連れていけって
うるさいんだけど・・・」
だって、ただでさえ雨の多かった9月。
数えるほどしか、出かけていないのよ。
そして今日を逃せばまた、明日から雨だと言ってるわ。
午前中、さんざん暴れていたら、ようやく昼からお出かけしてもらえることに。
明石海峡大橋を渡って、淡路島の岩屋へ向かうの。
家から1時間で到着よ。
高速をおりてすぐの道の駅あわじで、トイレ休憩。
兄はソフトクリ―ムタイムよ。
淡路島までくると、海の水はとてもきれいなのよ。
橋の通行料も1000円と、以前にくらべてとても安くなったわ。
生しらす丼や、あわじビーフバーガーとグルメや
お土産物も楽しみたいけれど、今日は無理よ。
だって、おばあちゃんが、さおを持ってきてるのだから。
まずは釣りえさ屋にいって、エビやら青いそめやらを買うの。
昔のクルマに乗り慣れているママは、バックモニターを見ないで駐車するわ。
そしてママが選んだ今回のベースキャンプは、漁港で釣りができて、
しかも海水浴場が隣接する岩屋漁港。
海水浴シーズンは犬がNGだけど、オフだとぜんぜんOK。
しかも、砂浜のよこにクルマを乗り付けすることができるのよ。
おばあちゃんは、小あじを釣る気まんまんで、
どうやら、わたしが見えていないようだわ。
わたしは、ママとふたりで砂浜へ向かったわ。
海のいいところは11月くらいまで、水があたたかいことと
砂浜なので、足がいたくないの。
反対に春はゴールデンウィークくらいまで、海水は冷たいのよ。
ママは
「ややこしい犬やね。」といいつつ、身投げする人みたいに
靴をそろえて、海に入ってくれたわ。
わたしは、いつも川で遊んでいる通り、ボールを海へと
放り投げたわ。
ところが、なんてこと!
ボールは波に打ち寄せられて、もどってくるのよ!
自分でボールを放って、自分で取るってこと?
これじゃ、一人遊びじゃないの。
それにしても、おばあちゃんといい、おにーちゃんといい、
ちょっとは、こっちの様子を見に来てくれてもいいのに、
いっこうに、気配をみせないわ。
一緒にあそんでくれると、思っていたのにね・・・。
わたしは、ママと、砂浜でおもいっきり遊んでいたわ。
いつまで、遊んでも飽きないわ。
楽しすぎる。
するとね、アオリイカに追いかけられたイワシが
砂浜に逃げてきたのよ。
ぴちぴち、はねているわ。
動いているけど、いつも食べているお魚のにおいなの。
おそるおそるくわえてみたけれど、
びちびちっって動くのよ。
そうだわ!
背中でやっつければいいのだわ。
これはいったい。
食材なのか、生き物なのか。
そうだわ。
背中でなんどもやっつけたから、この時点でだいぶん食材に
近づいていたのだけど、くわえて走り出したら、ぴくぴくって。
そして、イワシは動かなくなったわ。
わたしは、じゅうぶんに考えた末、
食べちゃったの。
それにしても、塩味の魚を食べたのは、正解だったわ。
とてもおいしかったもの。
でも、あとからのどが渇くのは想定外だったのよ。
おばあちゃんが南蛮漬け用に釣った小アジを、水汲みバケツに入れていたので
ひっくり返してみたわ。
アジはイワシにくらべて、ちくちくして痛いのね。
海の中にもイワシがいっぱい泳いでいたわ。
兄は海の物を捕まえるのが得意なの。
前に和歌山でウミガメをつかまえたこともあるのよ。
でね、今回はそのへんに落ちている漁網のきれはしで
わたしにイワシをつかまえてくれたわ。
このイワシをエサに投げた仕掛けにタコがのったの。
おばあちゃんは格闘したわ。
おばあちゃんが、ぐぐーとひっぱると、
タコもぐいぐいぐいーとひっぱるの。
しばらく、やり取りをしていたけれど、最後に針がはずれたわ。
とても残念。
でも、目的のアジは大量で、思った以上の釣果だったのよ。
わたしは、ベロニカ。
帰宅後、お風呂に入っている間に、おばあちゃんがイワシをてんぷらにしてくれたわ。
わたしもすっかり飼い犬ね。
やっぱり生の魚より、てんぷらの方がおいしく感じたわ。
かりかり、ほくほくの天ぷらにスダチをたっぷりかけて、いただくの。
残りは、フードドライヤーで、おやつにしてもらったわ。
あ~楽しかった!
生きてたイワシを。
ベロちゃんワイルド( ̄ー ̄)
てへへ