わたしは、ベロニカ。
鳴門のうずを見に行ったおんなのこ。
暑さのせいで、判断力がにぶったのね、
家族に小学生でもいないかぎり、入っても仕方のない
大鳴門橋記念館エディに、入ってしまったわ。
ここも、わんこはだっこでOK!
有料でも、とにかく暑さから逃れられたらって気持ちだったんだけど
冷房はふにょ~としか、効いてなくて、がっかりとさせられたわ。
ここでも、当然おばあちゃんは元気いっぱいで
としくんは、いつ倒れてもおかしくない様子だわね。
ママは火事の時の煙から避難するように
少しでも涼しい地面近くで休んだりしてたの。
ここはどういう建物かというと、大鳴門橋に関する展示物などが
あったりするのだけど、さっきも言ったとおり、
小学生の夏休みの絵日記用みたいなところで、
さして向学心のない、大人が見たって、おもしろくもなんともないのよ。
そして、各展示物を見終えて、展望台へとつづく階段に
たどりついたわ。
としくんとママは、へたりこんでしまったけれど、
おばあちゃんは、ぴょんぴょんと
とびはねていたわ。
そして、階段下のお土産物屋さんまで
下りて行って、そこに腰かけられる台があったので、
やっと一息つけたのよ。
これもまた、昭和なお土産物屋。
おばあさんがひとりで切り盛りしているところへ
中国人がバスの行き先を尋ねているわ。
ママは、ワカメをお土産に買って帰りたかったのだけど
アイスクリームを買おうとしているお客さんが、
何人も待たされていて、これは時間がかかるということで、
そろそろ、車と一体化しはじめた兄を電話で呼んだわ。
そして、日本語でおばあさんにバスの行き先を尋ねている中国人は
おばあさんに、見えないふりをされて、
行列を作っていた人たちのアイスクリームはとけはじめていたの。
わたしたちは、鳴門をはなれて、うずの道の上の高速道路で
淡路島に渡ることにしたわ。
そして、淡路島の最南端にある、道の駅うずしおで
お昼ごはんと、お土産を調達することに・・・。
ところが、ぜんぜんよくなかったのよ。
とにかく、すごい人!
レストランは40分待ち、あわじバーガーは40人は並んでいるわ。
お土産を買うどころか、陳列してあるお土産が
見えない状態。
あわじオニオンバーガーはまぼろしだわ。
わたしたちは、なんの収穫もないまま
車に戻ることにしたわ。
完全なる敗北よ。
ま、でもお土産物屋さんなんて、いくらでもあるでしょ。
と、思ったのが甘かったわ。
ワカメ直売所、などの看板があるものの、
島の南西部はほんとうに人が少なくて、人のいる店がないのよ。
この、混み過ぎ、と、すきすぎ、の格差はいったいなんなのかしら。
それでも少しずつ北へと向かう途中、ママは急に思い出したの。
魚釣りのエサを積んだままだーーーーー
このオキアミというエビはとても腐りやすく、
腐ったら、とてもじゃないけど家庭のごみで出せるような代物ではないの。
臭いったら、臭いったら、もう、地獄のにおいに匹敵するわ。
ということで、腐る前に途中の海にまくことにしたの。
適当な漁港を探したわ。
ちょうどいい漁港ね。
水が近いからバケツで手も洗えるわ。
あ、さよりがたくさん泳いでいる、群れがいっぱい。
と、その時。
おばあちゃんは、さおをセットしはじめたわ。
時間は2時半。
この炎天下で釣りを始めてしまったの。
そしてとしくんはおばあちゃんの仕掛けを手伝ったわ。
おにーちゃんはあわててパラソルをたてたわ。
一瞬にして、今日、計画的にこの場所で
釣りをする予定だった家族のようになってしまったの。
そして、たちの悪いことに、
おばあちゃんはキスをヒットしたのよ!
もう、とまらないわ。
次々と釣り上げていくのよ。
おばあちゃんは、おにーちゃんとママに
食べ物とビールを買ってくるように言ったわ。
そうして旅行は、過疎化した地域で、食べ物とビールを探しまわる
ただのドライブとなってしまったの。
走り出して15分くらいのところで、コンビニを発見。
でも、せっかく旅行に来て、コンビニのお弁当を食べるなんて、と
さらに車を走らせたわ。
ナビの周辺の施設情報を追いかけて、走って走って洲本市にまで来たけれど
どうにも、いい感じの店が見当たらないわ。
釣り場を離れてから、そろそろ1時間ほど・・・。
炎天下に残してきたおばあちゃんととしくんも心配に。
電話をかけてみたけれど、電話は後部座席で鳴るばかり・・・・・。
そこにコンビニが見えたわ。
結局、コンビニでおにぎりとビールとフライドチキンを買って
戻ることにしたわ。
何をしていることやら・・・。
釣り場に戻るとおばあちゃんは
「エサがない・・・。」とつぶやいたわ。
もう、無理。としくんなんて、融けかかっているじゃない!
だいたい、ここにはエサを捨てに来たのよ。
それを、3時間も釣りに興じるなんて・・・・。
おばあちゃんは、話を聞いてなかったわ。
ただ、元気よく
「あー楽しかった♪」ですって。
わたしは、ベロニカ。
たとえ、小さい旅行でも計画とリサーチが、いかに大切か
身にしみたって、ママは言ったわ。
結局お土産はあわじサービスエリアで買うという
何とも味気のない結果となってしまったわ。
それから、真夏の旅行はもうやめようって、つくづく思いながら
淡路の藻塩ソフトを食べて旅の終わりをしめくくったの。