わたしは、ベロニカ。
ママが何かに憑りつかれたようだわ。
今日は、わたしとはっしーとおにーちゃんを3人ぼっちにして
ママととしくんは税務署に行ってしまったの。
税務署からハガキが届いて、
・支援措置について
・交際費課税
・所得拡大促進税制
の説明会があるらしいのよ。
資料を渡されて、広いホールに通された
ママととしくん。
としくんは言ったわ。
「2時間も、聞くのは疲れるのだ!途中でばっくれたいのだ!」
としくんと、並んですわったママはあきれて言ったの。
「とし、今すぐ、ばっくれよう!」
わたしが、お留守番を嫌いなのを知ってて
どうして、出かけるのよ!!
でも、ママには実は事情があって、
どうしても、お仕事のデザインの下見にいきたいところがあったの。
それは、とある雑居ビル。
なんだか、寒い気配を感じながらも
ママはビルに近づいて行ったの。
ビルの2Fまで、上がっていかないといけないんだけど
ママの足は急に重たくなって、寒気がぬぐえなかったみたい。
それでも、早々に写真などを取ったり、
色のバランスを見て、車にもどったの。
ところが、としくんは、いつまでも戻ってこなかったらしいわ。
としくんは、採寸したり、材質をメモしたりと
忙しかったみたい。
そして、無人のはずのビルの奥から、おばあさんが出てきて
通り過ぎたんだけど、生きてる感じがしなかったんだって。
こわいわ!
しかも、葬儀会社らしきテナントから、出てきたのよ!!!
ママはその頃、車の中で、なんともいえない悪寒に震えていたわ!
もう、ほとんど妖気を感じる空き物件の
毒気にやられたのね。
ママは、肩まで重たくなってきて、寒くて仕方なかったの。
やっとこさ、車に戻ってきたとしくんは、言い放ったわ。
「いっぱい、いたのだ!」
きゃーーーー!
そんなことって、あるのね。
そして、お客さんが待っていたこともあって、
そうそうに戻ってきたママ。
わたしは、お客さんをちゃーーんと接客したわよ。
おかげで、お客さんと仲よくなれたのは
うれしかったわ!
帰ってきたとしくんは、すぐに写真を確認したの。
ママが例のビルに入って行こうとしたとき、としくんは
「よく平気で、はいっていくのだ!」
と、思って写真を撮ったのよ!
ママのまわりには、よくない気がまとわりついていたわ!
わたしは、ベロニカ。
ママは、まわりにおどろおどろしたものを、つけたまま、家に帰ってきたのよ。
でも、不思議ね、みんな、はっしーと一緒に帰って行ったの。
ママは、晩酌で除霊をしたから、はっしーについていったのね。