わたしはベロニカ。雨なのにお出かけなんてどこにいくのかしらって思うおんなのこ。でもね、なんとなく嫌な予感がしていたわ。今から思えば。
ママから何の感情も読み取れない、ん?あわれんでいる?そしてとうとう目的地に着いたわ。
ここはどこ?ママは言ったわ。「ベリーお風呂に入ろう」って。これまでトリミングなんてしたことないから、その単語がわからないわたしにそう伝えたのね。嫌だわ。お風呂はきらいよ。
ということで、すぐに帰ります。だけどこれは何日も前から仕組まれたことだったようで、ママはたんたんとカルテに生年月日などを書き込み、そしてトリマーさんはひょいとわたしを抱え上げた。
わたしは店に入る前に、おしっことウンチをすませた要領のよさを恨んだわ。だだのこねようがないわ。まないたの上の鯉?
何しはりますのん?ママは見守っているだけで、助けてくれない。それにしてもトリマーのお兄さんの手際はものすごい。ハサミの動きが半端ない。だけどわたしは死にそうよ。
シャンプーしてくれたおねえさんの手際も早かった。OHANAさんはスーパースピード。まあ、それがOHANAさんらしい「犬ファースト」だからだとママは言っていたけど。この際、ママの感想は聞いてないから。
おねえさんはやめなかった。でもとてもやさしくさわってくれるから、思わず気持ちいいと感じてしまったわ。
わたしはベロニカ。トリマーさんが迅速にかつ丁寧にことをすすめてくれたので体力的にちっともしんどくなかった。だけどこれまでわがまますぎる生活をおくってきたわたしにとっては大事件だったわ。
最終的にママの感想は、トリマーが重労働であること。そしてこれまで見たことないほど毛がふわふわになったこと。犬への思いやりが深いお店だったこと。