バナナ・ケーキ

わたしは、ベロニカ。

手芸同好会のおかげで、ちっとも遊びに

連れて行ってもらえない、おんなのこ。

 

ミシンというのは、よほど　おもしろいおもちゃなのね。

ママはいろんな物を作って遊んでいるのよ。

 

２階の小窓のタペストリーに

 

 

トイレの目隠し。

 

 

部屋の入口ののれん。

 

 

おさんぽバッグ。

 

 

ティッシュケースに、

 

 

わたしのゆかた、は、後はレースを

つけるだけね。

 

 

小物入れきんちゃく。

 

 

で、はっしーのステテコ。

 

 

 

毛だらけにしておいたわ。

 

 

そして、あまったハギレは、捨てるのがもったいないので

フォトフレームに。

 

 

お部屋はすっかり、工房になってしまったわ。

 

 

わたしが、どこにでも、登れるから、避難場所として

はっしーが棚を取りつけたの。

 

 

こんなかっこうで。

 

 

ミシン糸が転がらない水平テクニックよ。

 

 

 

わたしは、そんなことは、どーでもいいし

第一たいくつだから、テレビを見ていたの。

 

そしたら、最近はやりのココナッツ・オイルを

使ったバナナケーキの作り方の番組が始まって、

 

 

女の先生が、男の人を助手に

てきぱきとケーキを作っていくの。

 

ところが途中で耳を疑うような発言があったの。

 

女の先生は、焼きたてのパンを

切り分けながら

「こんな焼きたてほやほやを、食べれるのは

作った人の特権ですよ～すばらしいわ。」

 

 

男の人は、あいづちをうって

「そうですね～作りたては作らないと食べられませんねぇ」と言ったわ。

 

さらに女の先生は、

「実はもう一つおいしい食べ方があるんですよ～

冷蔵庫で、冷やすという、ココナッツ・オイルの特性を

生かして、味わうこともできるんです。

さ、食べてみてください。

ね、おいしいでしょ。でも、やっぱり

焼きたては作った人の特権ですかね～」

 

 

「どちらが、おこのみかしら～」

 

 

 

あきらかに、空気的に、焼きたての方と

答えるべき、場面ではないのかしら？

 

この助手の人は疲れているのだわ。

 

わたしは、ベロニカ。

つまりは、はっしーは

いつも疲れているということなのね。