かけがえのないもの

ふだん、意識もせずに、どちらかといえば大事にもしていないもの。

それを失ったときに、それが「かけがえのないもの」だと気づいたとしても、

もう、時遅し、取り返しはつかないものなの。

わたしは、ベロニカ。

「びっくり腰」になった役立たずのママとゴールデンウィークを

楽しく過ごすなんて期待していなかったわ。

だけど、病院にくるなんて、あまりにもナンセンスだわ。

しかも、今日は血をとるというのよ。

フィラリアに感染していないかを調べてもらって

今年の分の、お薬を買って帰るの。

 

わたしの前の子は注射された途端に

う〇こ、もらしてたわ。ぼたぼたと。

先生はびっくりしていたけど、なかなかいいリアクションね。

 

わたしはというと、注射されるときのコツをつかんでいるわけ。

要するに、「針」を見ないようにすると、あまり痛くないの。

幸いにもフィラリアには感染していなかったわ。

でもね、体重が7.5kg。

ダイエットしても、タテに長くなるもんだから体重はどんどん重くなるわけ。

「失礼ね!」

そんなに重たかないわよ。

しかしながら一説には、うちのママが腰を痛めたのは

わたしの重たさの故だというわ。

こーんなゴールデンウィークのすべりだしだったのだけど

としくんが、とてもいいことを言いだしたの。

ママは腰が痛いうえに、仕事を早く片付けたいから

近場じゃないとだめね。

では、

ということで、ここから20分。

つつじで満開の甲山森林公園へ行くことにしたのよ。

さっ、としくん、いっしょに散歩しようよ!

ところが、としくん。

「わしは、森の空気を吸いたいといっただけで

ベリーと散歩する気はさらさらないのだ。」

ですって。

としくんはクルマの中で昼寝をはじめたわ。

ばかね、こんなに気持ちいいのに。

 

わたしは、ママと汗ばむ陽気の遊歩道を練り歩いたわ。

木陰が多いから、日焼けの心配はいらないのよ。

わたしは、はなから心配してないけど。

小さな小川に突進していったわたしを見て

親子連れがわらっているわ。

いいところだわ。

今度はいつこれるかしら。

ところが、この時、ママはかけがえのないものを

失ってしまっていたの。

それは、ひどい遠視と老眼のため、肌身はなさなかった

遠近両用メガネ。

確かにここに来たときはもってたはずなの。

わたしは、ベロニカ。

あのメガネがなかったら、スマホすら、いえ

クルマの計器すら見えないというのに・・・。

ママはそんな大事なものをあまりにも無造作にあつかっていたのよ。

作り直すには3万円。

よく考えれば大事にしているコンパクトデジカメより高いじゃない!

 

腰は痛いし、仕事ははかどらないし、泣きっ面にハチとはこのことね!

 

2 thoughts to “かけがえのないもの”

  1. 腰…大丈夫?
    あ、ってときにはすでにギクッ‼やん( ; ゜Д゜) しばらくは、コルセットしてた方がいいかも?

    で…メガネ
    どこ行ったんやろ??

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