小道具がないの

わたしはベロニカ。

毎日、ママとべったり過ごすおんなのこ。

今日はとつじょとして撮影のお仕事が入ったわ。

だから、わたしも商品を引き取りにいかなくては・・・。

 

昔、ママの写真のお師匠さんは、よく言ってたわ。

「納期の短い仕事は受けるべきでない。」と。

ママもその意味はじゅうぶんにわかっているつもり。

 

 

お師匠さんは「納期は最低2週間」そういったのよ。

それなのに、今回のお仕事は

朝、商品を取りに行って、撮影して、切り抜きして、そして夕方までに納品だというわ。

しかも何点もあるじゃない。

 

とにかくも、朝、先方の会社が開くのを待って

商品を取りに行って、白い息を吐きながら帰ってきたわ。

(タバコの煙じゃないのよ、寒い朝だっていいたかっただけ。)

 

すかさず、車に積んである大きな段ボール箱2つを兄が家へと運んだわ。

兄はそのせいで腰を痛めたの。

 

 

撮影の時、ママはよく使う言葉があるの。

「光まわり」

兄は質問したわ。

「そのいつも言う光まわりって、何?」

ママは答えたわ。

「ようするに、光がまわってること・・・」

 

ママは撮影を前にして、兄に丁寧に答えるのが面倒なようだわ。

光まわりとはね「乱反射」とまでは言わないけれど、

光が何回も反射して被写体に映り込んでいる状態のこと。

 

光まわりがいいと、商品の状態がとてもよく見えて

すごくきれいに写るの。

 

商品だけじゃないわ、人間だってとても美人に写るのよ。

場所でいうと、日当たりのいいカフェだとか、階段の踊り場などよ。

 

引用元:http://db.pref.tottori.jp/heartful.nsf/20/F88041A0ABF60E464925780E001BD303?OpenDocument

 

そういった光まわりのいい場所は、光にあたっているのに影ができないの。

その光まわりのいい状態を、撮影する人はたくさんのストロボで作っているわけ。

ママは光まわりのいい状態を作るためにどうしているかというと、窓ガラスに乳白色のフィルムを貼って大きな出窓には窓全部が隠せるレースのカーテンをつけているわけ。

 

だからおひさまがいいところへ来たら絶妙な光まわりになるのよ。

それで、その光まわりで何を撮影するのかと思えば、「木工品の教材」なの。

本立てとか小物入れなどの木工細工を10点ばかり撮影するのだけど、小道具を入れないとイメージがわかないわけ。

 

たとえば、こんなふうに・・・

 

引用元:http://www.gigiliving.com/SHOP/kan7890.html

 

はっきりいって、家の中にそんなこじゃれたものが転がっているわけでもなし。

撮影よりも小道具選びの方が大変だったわ。

兄もあれでもない、これでもないと頑張っていたのよ。

でも、洋物の雑貨などでなんとか10点中9個目までは乗り切ったわ。

 

 

ところが最後の10個目には、とうとうネタがつきてしまって、お手上げとなったわ。

だいたい、最初に小道具代を請求しておかないママがいけないのよ。

 

結局、なんとか夕方までに写真加工もすべて終えてサーバーにアップロード。

先方のデザイナーからは5分でOKがでたので納品を完了、わたしはママと商品を返しに行ったわ。

格安ツアーでもこれほどの弾丸スケジュールはないと思うけどね。

(5分でほんとにちゃんと見てくれたのかは疑問・・・)

 

わたしは、ベロニカ。

最後に兄が部屋から持ってきた10個目の小道具。

それを見て、わたしは思わず吹き出してしまったのよ。

ママはこれを納品しては二度と仕事がこなくなるといったわ。

 

見て♪

 

 

 

 

 

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