わたしは、ベロニカ。
公園でずっとほえているおんなのこ。
通りすがる人は「なんて言ってるの?」と聞くわ。
「おじさんは、来ないで~!」
といい続けているのよ。
そんな時にね、「ベリーちゃん、ほえてもおじさんは来るよ」といって、わたしをいさめてくれた女の子がりんちゃん。
わたしの背中に「お手」して注意するの。
ワイヤーフォックステリアのりんちゃんは、とても活発で好奇心が旺盛。
神経質な子が多い犬種だというけど、りんちゃんはひょうきんなタチだったと思うの。
お散歩の帰り道、和菓子屋さんの店先に置いてある葉ボタンに食いつこうといつも狙っていたのよ。
りんちゃんはハボタンめがけて、「ばくっ」てするけど、りんちゃんのママの方がうわ手ですかさず、リードにテンションをかけられていたっけ。
わたしには、そんなりんちゃんが天国へ行ってしまったんて信じられない。
たしかにもう、14才。老衰といってもおかしくない年だけど、りんちゃんは「肝臓ガン」だったという。
ガンがわかってからの犬の寿命は1ヶ月~2か月のことが多いという。
りんちゃんは2ヶ月の間、人間と同じように、いえそれ以上に大事に介護されていたの。
2日に1回の点滴、暑い中、獣医さんへ連れて行くりんちゃんのママは大変だったと思う。
それでもとにかくりんちゃんがつらくないように、と祈っていたと思うの。
りんちゃんが亡くなったと聞いて、お参りに行ったうちのママ。
りんちゃんは、とても幸せそうな安らかな寝顔をしていたというから、りんちゃんのママの願いは叶ったのね。
夢見るように眠っているりんちゃんは、まるで赤ちゃんの頃のような、あどけなさがあったというわ。
当たり前のように公園にいた子がいなくなって、すっかり公園が寂しくなった。
マナちゃん、ぷりんちゃんの時もそうだったけど、何度、公園に行ってもまだそこにいるような気がして・・・。
そしていないことをあらためて思い出して・・・。
これを何度繰り返せば寂しさが和らぐのだろう。
犬を失う=ペットロスは昔より多くなったというわ。
愛情が深まるほどに、いなくなった悲しみは大きいの。
だから、昔の犬と今の犬では、家族度の強い今の犬の方がペットロスを引き起こしやすいのだとか。
いろんなことを人は言うわ。
「次の犬を飼うのが一番」
「他の犬をみて癒されるのがいい」
「もう二度とペットは飼わない」
うちのママはこう思うようにしているの。
「自分もいずれ死ぬし・・・」
わたしは、ベロニカ。
りんちゃんは天国でぷりんちゃんに会えたのかしら。
そして皮膚の病気のために、お肉が食べられなかったりんちゃん。
お肉をいっぱい食べて走り回っている姿が見えるようね。
犬をむかえる前にすること。それは覚悟です。
人間の子どもを育てるのと同じくらいに考えておいた方がいいでしょう。
うんちやおしっこのしつけに苦労するかもしれません。
吠え癖やかみ癖のために、心労がたえないかもしれません。
そのうえ、ケガや病気の心配で眠れない夜もあるでしょう。
それでも、大昔からひとに寄りそって生きてきた犬という動物は、わたしたちの暮らしに
癒しと安らぎをあたえてくれます。
いっしょに暮らすうちに、犬はなくてはならない、かけがえのない存在になるでしょう。
しかし家族の一員となるであろう犬の一生は、あまりにも短いのです。
いつの日か別れがくるのです。
必ずやってくる深い悲しみを覚悟をしなければなりません。
それでも犬をむかえるあなたへ。
犬にとっても、あなたはかけがえなない存在です。
深く深く、愛してあげてください。
そして、いっしょの時間を大切にしてください。
それはあなたの人生を豊かにする時間となるでしょう。