わたしは、ベロニカ。
朝によわいおんなのこ。
ママはとっくに、起きているんだけど、
わたしは、いつまでもベッドにいるの。
「べりー、朝ごはんよーー」
食欲よりも、睡魔が強いの。
窓を開けてねたから、ごみ収集車の
オルゴールが つらいわ。
「べりー、お散歩いこーか。」
ママは、うるさい。
これが、毎朝のわたし・・・。
めんどくさいわ。
でも、そろそろ、としくんと はっしーが来る時間ね。
あら、はっしーから電話がはいったみたい・・・
「はっしーは、トラックが事故をしたせいで
道路が渋滞して、遅れるんだって。」
遅刻なんてどうでもよかったのに、ママはおもしろがって
「トラックが事故をしたせいで?
はっしー、事故に巻き込まれた?
あ、そ。巻き込まれてない。
事故渋滞って、遅刻理由がとおるのは、
常日頃から30分前には出社している自動車通勤者だけでしょ。」
と、いじめていた。
はっしーは、3分遅刻しただけだったのに
見積もりをまちがって、30分遅れるって言ってしまったせいで
3分以上おこられていた。
そして、あっというまに、お昼の時間。
今日は、山垣畜産の、ミンチカツ。
としくんは、ひと口たべてわかったわ。
「山垣なのだ。」
お昼からは、ふたりとも取引先の会社へ打ち合わせにでかけた。
ほんとうは、ママが行くはずだったんだけど、
「急な来客があったので、ということにしておいてね。」と言っていた。
でもね、ママが言うには、得意先の社長さんは
とっても、さびしがり屋で、とにかく来てほしい人なんだって。
たとえ、電話やメールで済む用事でも、ぜったい行かないとダメなの。
データのやり取りを するのにも、ダウンロードして下さいなどと、言おうものなら
すっごい、いやな顔をするのよ。
それでも、納期がせまっているので、データを郵送してもらったことがあるのね。
封筒から出てきたUSBは、すべて壊れていたの。
呼び出されるのはいいんだけど、
打ち合わせの時間さえ、短ければ、仕事はとっくに終わっているのに。
「そうそう、今頃は、その社長さんのパソコンから
データをひろい出しているわ!
多分、30分がどうでもいい話で、30分が社長さんの話で
30分がデータ探しで、10分が打ち合わせで、20分が
別れの余談なの。」
わたしは、ベロニカ。
類は友をよぶのね。