わたしは、ベロニカ。

また、島へ渡る　おんなのこ。

海辺でゆったりしたい　おにーちゃんと

いろんな写真を撮りたいママと

水遊びがしたいわたし、そして

釣りが好きな　おばあちゃんの

目的のばらばらな、行き先が　たまたま淡路島に

なってしまうのね。

ここは、道の駅あわじ。

生しらす丼のお店には

すごい行列。

わたしたちは、道の駅のいちばん奥にあるお店で食べ物を買って

外のテーブルで食べることに。

おばあちゃんは

てんこ盛り天丼を頼んだわ。

ママは生じゃない　釜揚げしらす丼

大葉がごはんに混ぜ込んであって

大根おろしにあまずっぱいポンズだれで

とってもおいしかったって。

おにーちゃんには、淡路島バーガーを買ってあげたわ。

わたしは、フリーズドドライのフードを

もらったから満足よ。

 

淡路島のいいところは、

お仕事の都会、神戸や大阪が

海の向こうに行ってしまうところ。

街を遠くにながめて、

日常と距離をおけるような

気がするのね。

 

そして、現実は逃避すればするほど

骨身にしみるのよ。

誰かが言ってたわ。

 

お昼ごはんが終わって、さて目的の違う

家族はどうするのかしら。

口火を切ったのはママ。

 

人をそそのかすのが上手なママは、

もとい、人をその気にさせるのが上手なママは

「ねえ、牧場のアイスクリームを食べに行かない？」

と、なんだか、とてもおいしそうに聞こえるフレーズをつけたわ。

淡路カントリーガーデンには

ドッグランがあるの。

この暑い中、ドッグランもないでしょって

わたしは思ったけれど、ママの気を損ねるのもなんだし

つきあうことにしたわ。

こういう時、逃げ足が速いというか、

要領がいいのが、うちの兄。

「べりー、おにーちゃんは車でアイスを

食べてるから、ママたちと楽しんでおいで」ですって。

おばあちゃんはというと、

車の片隅に積んだ釣り竿をしり目に

いやいやとママのあとにつづいたわ。

とても愛想のいいスタッフのおにいさん。

入場券を買うママに動物のエサも買いませんか？って

ママは「うちの動物がややこしいので結構です」と

やんわりとした笑顔できっぱり断ってたわ。

事務室の壁には、ドクター倫太郎のサインが。

園内に入ると、最初にクジャクのおりがあって

地味ーにクジャクが地面にしゃがんでいたわ。

クジャクのイメージって、

だったんだけど、

これは求愛のポーズだったのね。

メスもいないおりの中のやもめクジャクは

それはそれは、やる気ゼロだったわ。

 

それより、わたしが興奮したのは

うさぎ。

初めてみるうさぎは、わたしの中の

何か遺伝子的なものを呼び起こしたわ。

わたしは、おりのまわりを

走り回ってうさぎを追ったの。

うさぎは、もちろん　逃げまどい

わたしは、おりのまわりをぐるぐると。

追いかけ続けたわ。

遺伝子的な何かのせいで。

新調した８ｍの伸縮リードが

おりのまわりにぐるぐると。

ママはうさぎが恐怖で気絶する前に

わたしを、おりから引きはがしたわ。

そして連れていかれたのが、サルのおり。

わたしは、吠えもしないし、見もしなかったわ。

これは、見たらダメなやつ。

すぐに立ち去ったの。

そして、意味もなくえらそうにいばってる鶏を見たわ。

あまりにも、上から目線で感じ悪いわ。

次よつぎ。

姿が見えない時は

名前を呼んでみてくださいって、書いてあったから

呼んでみたわ。

「さちこー」

そうしたら、おばあちゃんが来たわ。

何も答えちゃくれないわね。

 

特にわけわからないのが

お目目四角族。

そうよ。

ちょっと　お邪魔するわよ。

 

それに、角という恐ろしい武器を持っているんだったわ。

かなわないわ。

犬らしく、わたしは

ドッグランで遊ぶわ。

 

 

わたしは、ベロニカ。

オオカミじゃなくて、キツネよ！