わたしは、ベロニカ。
暑さにはけっこう強いおんなのこ。
人間たちは、暑さで思考回路がやられているわ。
車の中では旅館についてから、釣りをするだのしないだのと
もめているの。
ママは今夜ちょうど、鳴門で阿波踊りがはじまるから
写真を撮りに行きたいと考えていたわ。
そのあと
新町川水際公園で、夜景をみたいなぁと。
兄は、そのすべてからどうやって逃れられるか
ひとり画策していたわ。
真夏の風物詩、ハイビスカスとパラソルがある
釣具店でエビと青イソメを買ったわ。
これで、ひと安心。
じゃあ、観光しながら、のんびり南下するのよね。
ううん。
たしか、しまむらがこの辺にあったはずだから、
ガウチョパンツもどきに合うブラウスを買わなきゃいけないの。
家をでるぎりぎりまで、乾燥機にかけてたブラウスは
乾燥機のロックがかかったため、取り出すことが出来なかったの。
あ、あったわ!
今度は、としくんがわたしと車で待っていて
おばあちゃんとおにーちゃんとママは買い物に行ってしまったわ。
そして、ママがお会計をするときに
兄がいろいろと余分な服をトッピングしたわ。
そして、左手に水平線を見ながら、ゆっくりと下道を走るの。
潮のにおいがして、わたしは、うきうきしてきたわ。
旅行って、こういう瞬間をいうのよね。
気持ちがあがるわ♪
そして、いよいよ、四国へ渡るため、ふたたび高速道路に。
わたしのためのトイレ休憩で立ち寄ったサービスエリアで
ママはあわじ牛乳ソフトを買うのを忘れなかったわ。
そして、いよいよ大鳴門橋を渡る時が来たわ。
兄は言ったわ。
「べりー、初鳴門だねえ。」
兄はね、地理に弱いのかもしれないわ、
日和佐へ行こうと思ったら、大概の場合
鳴門を通るものなのよ。
それにしても、どうしてこう眠いのかしら。
わかったわ。
うしろのとしくんが、強烈な睡魔をかもしだしているからだわ。
最近では徹夜することもあるくらい、
お仕事がたいへんだったらしいわ。
そして、旅館に到着~~~♪
古き良き時代の温泉旅館ね。
目の前に海があって、全室オーシャンビュー
天皇陛下もお泊りになったことがあるというのに。
時代と共に、あちこちが老朽化しているの。
もったいないわ。
まあ、そのおかげで犬が泊まれるように
なったんだと思うけれど。
口には出さないけれど、おばあちゃんは
少し、残念な気持ちになってしまったわ。
この場合は、逆にレトロなものを集めてきて
昭和ノスタルジーを全面に出せば、おもしろいかも知れないわね。
わたしはといえば、この方が気が楽なの。
少々、ふすまをどんどんしても、しかられないから。
走り回っても怒られないし。
こんな旅館だーいすき!!!
それから、今回はパンツやおむつをつけられたけど
はずしてもらってからだって、わたし一度もそそうをしなかったわ。
わたしも、もう大人のレディなんだから、
おしっこぐらい、ちゃんとママの言った場所でできるようになったのよ!
ママはすごく、ほめてくれて、わたしうれしかったわ。
「べりー、かしこかったね、トイレシーツの真ん中にちゃんとできたね♥
それに、今日は車でもごきげんで、
暑い中もがんばってにこにこしてたね。」って。
すると兄はぼそっと言ったわ。
わたしは、ベロニカ。
旅行は始まったばかり、とっても楽しいわ♪