命と食べ物

わたしは、ベロニカ。

目的がバラバラな家族で淡路島にいるおんなのこ。

淡路カントリーガーデンを後にしたママは

次にどこに行こうかと わくわくしてたわ。

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わたしの願いが通じたのか、

ママはようやく 釣具屋で車をとめたわ。

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おばあちゃんは、ママの気がかわらないうち、

車が止まるや否やで、エサを買いに走ったの。

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青イソメにするか、石ゴカイにするか

悩んでいるのだわ。

 

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今日は天気予報では 雨 だったはずが

とても晴れたわね。

水平線に黒い縁取りがないから、これから、崩れるってこともないのよ。

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いつもは、わたしを一番に遊んでくれるおばあちゃんなのに

だめね。

頭の中が釣りでいっぱいなのよ。

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わたしが見えてないわね。

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だけど、おばあちゃんの竿には

まったく、あたりなし・・・。

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「ここは、風が強くて

帽子が飛びそうでやりにくいみたい」

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ん?あたりがあるのね!

やっぱり、おばあちゃんの腕が悪いんじゃなかったのよ。

釣れたわ!

ベラよ。

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ベラはお刺身にすると、おいしい魚なのよ。

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おばあちゃんは、

「べりーちゃんの今夜の晩ごはんをいっぱい

釣ってあげるからね。」

と言って次々釣ってくれたわ。

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ママは魚がダメになるからって

袋に入れて氷づめしてしまったわ。

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帰りの車の中では、魚の夢を見ながら

ぐっすり眠ったの。

家に帰るなり、ママに魚をねだったけれど

お風呂場に連れていかれたわ。

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おばあちゃんは、魚の内臓に釣り針が

入っていては危険よって言って

ていねいにさばいてくれるというの。

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まな板の上で、まだ飛び跳ねる魚もいたのよ。

 

そして

「べりーちゃんのお刺身ができたわよ、

食べていいのよ~」っていったわ。

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いやよ!

欲しくないわ。

これ、わたしの魚じゃないもの。

わたしの魚をちょーだい!!

 

ママは意味がわかっていないわたしに、

魚がどうなっているのかを見せてくれたわ。

 

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さっきまで、元気に飛び跳ねていたのに

どうして死んだの?

かわいそうで、食べれないわ。

 

ママは複雑な顔をするわたしを

床におろして、何やら料理をはじめたの。

 

ほどなくして、たまらなく おいしそうなにおいがしてきたわ。

わたし、おなかが ぐうってなったのよ。

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わーい!

ごはんごはん!!

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とっても おいしいゆでた魚だったの。

淡白だけど、甘味があって最高に好きだわ。

それに新鮮だし♪

これなら、毎日でも食べたいくらい。

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もしかして、わたしの魚だったの?

 

わたしは、ベロニカ。

今まで、お刺身をもらっても、考えたことがなかったの。

わたしが食べたのは、命だったのね。

これからは、決して食べ物を粗末にしないわ。

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inunoegao

 

 

2 thoughts to “命と食べ物”

  1. 「水平線に黒い縁取りがないから、これから、崩れるってこともないのよ。」
    ↑そうなん?原始チック(笑)
    きれいな海…気持ちよさそう♪
    ベラ?ベム?ベロ?…ベリ?ちょっと  古いか…?
    ベリー 新鮮なお魚  良かったね~(#^.^#)
    おばあちゃんが一番楽しそうに見えたけど…
    実は、これも、それも…全部 ベリーの為だったんだね(^u^)
    エサ選びやエサ付に夢中でベリーのことが見えてなかったんじゃなくて
    帰ってさばいてベリーの喜ぶ顔をきっと想像してたんだね…
    優しいおばあちゃんでいいな~♪

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