わたしは、ベロニカ。
寒くなって思い出したわ。
今年のはじめ、ママはわたしをおいて遠くへいってしまったの。
その頃、ママは夜のフィレンツェを
満喫していたわ。
地元のお姉さんをつかまえて、おいしいワインバーを教えてもらったの。
夜のアルノー川はシャンパンゴールド、ということで
ワインバー【ゴールデン・リバー】へ!
外はひっそりした感じだったけど
お店の中は、地元の人たちでいっぱい。
日本でいうところの、居酒屋ね。
ホテルのフロントで、予約をとってもらったから、
川がながめられる、窓際の席にゆったりとすわることができたみたい。
イタリアも5日目ということで、
だんだん、言語もどうでもよくなってきたわ。
おそるおそる旅行するより、
思いっきり、楽しんでいると、受け入れてもらえるものね。
日本の創作居酒屋で吟味するみたいに、好きなものをオーダーしたわ。
ちょっとイタリアをなめてかかっていたけど、
パスタは、なんというか濃度がちがうのよね。
日本でも、よくイタリアンで食べれるカプレーゼ。
モッツラレラチーズとトマトの前菜。
↑ こーんな、感じとおもっていたら。
チキンやアーティチョークといっしょに
パイ焼されてたのよ!
パイをさくっと、フォークでわると、
いろんな食材がチーズとともに、こぼれおちて、
おいしいったら。
魚介のブイヤベースも、すんごい香り。
サフランのリゾットにいたっては、やはり、食べたことのない
濃厚さ。
もう、旅の楽しみの半分以上は、たべものね。
魚料理も、とても丁寧な仕上がりで、
和食がなくても、十分生きていけそうな勢い。
ほんとうに、ステキな店だったわ。
シャンパンでぐでんぐでんに、酔っぱらいながらも
千鳥足で、ホテルへ帰って行ったママだったわ。
ホテルの冷蔵庫から、また寝酒を取り出して、
旅行でしか味わえない、ゆったりとした
時間を過ごしたわ。
わたしのことなんて、忘れてるわね。
バスタブには、きっちり、お湯をはるのよ。
日本人なんだから。
さあ、明日は、ローマへ。
カトリックのデザインのお仕事が多いので
ローマ法王の写真など、ストックするのが今回の任務よ。
早々に、ベッドに入って、言葉はわからないままテレビをつけたわ。
すると、そのローマ法王ベネディクト16世がテレビに出ているじゃない!!
はぁ~~
なんだってぇ~~~
てへっ、じゃ、ねぇよ~~
ママはワインを吹き出したわ。
いや!
そういう問題ではなくて!!
明日のバチカン市国は、どうなるのぉ~~~!
わたしは、ベロニカ。
ピザくらいは、たべれるでしょ。
さっさと、おうちへ帰ってきて、ママ!