わたしは、ベロニカ。
ママから怖い話をきいて、ふるえているの。
それは、うちから見える六甲山の話。
実は、あの山の奥に、やまんばが住んでいるの。
やまんばと言っても、ギャルじゃないのよ。
ほんとうのやまんばなの。
時折、町中にでてきては、ものすごいスピードで歩いているの。
毎日、滝にうたれて、山を上り下りしてるから、
はがねのように、きたえられた体をした、やまんば。
ある時、ママは宝塚の温泉街を、運転していたの。
電柱のかげに、人が見えたから、ゆっくりと徐行して
ほとんど、車は止まっていたわ。
そのとき、電柱の陰から、おばあさんが飛び出してきて、
ドアミラーを、おもいっきり ひじ打ちしたの。
その瞬間、おばあさんは、大声で
「いいやー、痛い痛い痛い、はねられた~」と叫んだわ。
そのおばあさんが、やまんばだったのよ。
ママはやまんばに
「大丈夫ですか?救急車よびましょうか?」と言ったけど
やまんばは「痛い、痛い!」と、叫ぶばかり。
ママは、どうぞ車に乗ってください、と、やまんばをうながして
近所の病院へ向かったわ。
助手席で、やまんばは、するどくのびた爪で
自分のひじを、がりがりとかきはじめて、
みるみる、皮膚が赤黒くなってきたの。
同時に、あかが、ごそごそ落ちてきて、なんだか、ありえない光景だったの。
ママは、どうやって、病院にたどりついたか記憶が
はっきりしない状態で、やまんばを診察してもらったわ。
やまんばは、打撲という診断を受けて、診察室から出てきたの。
ママは、「ちょっと来てください。」と先生に呼ばれたわ。
先生の話は、
「実は、あのおばあさんは、2週間前にも、診察にきたんです。
なんでも、その時は、バイクのハンドルにひじがあたったということで、
運転手の方に送られて、帰って行ったきりでしたが・・・。」
というものだった。
ママは、ぞぉーーーっとして、ちらっと、やまんばを見たの。
そうしたらね、
やまんばは、ニタァ~と笑っていたの。
病院を出たところで、ママはやまんばに、保険を使うことになるかもしれないので
いっしょに警察へいっていただけますか、と
ママが言い終わるまえに、やまんばは、ひょい、と
おばあさんとは思えない軽い身のこなしで助手席に乗り込んだわ。
事故相談係に案内された、やまんば と ママ。
やまんばは、始終、弱弱しい、老婆を演じていたわ。
先に、待合室へもどったやまんばは、他の事故被害者のおじいさんに
「あんた、泣き寝入りしたら、あかんでえ~
しつこうしたら、ええねん。」とアドバイスしていた。
警察では、結局、これは、とてもグレーな事故ということで、
損害保険のGメンみたいな人が、うちに来ることになったの。
ママはやまんばを、まず 家に送っていくことにした。
やまんばは、山への道を案内して、行き止まりの、柵をこえて
けもの道に消えていったわ。
「明日、また病院にいくので、ここに9時にきてくださいね。」
ママの言葉に、返事もしないでやまんばは、見えなくなった。
とりあえず、たいしたケガでなかった事に、ほっとしつつも
ママはGメンと会うために、午後からの予定をすべてキャンセルしたわ。
Gメンにあらかたの事情を説明するママ。
Gメンはきっぱり言ったの。
「ですが、
家もない、ばあさんのために、自賠責で通院日数分を
出してやるってのは、どうですかね。」
へんなGメンだわ!
やまんばが味をしめて、また同じことして、ひどいケガをしたら、ダメじゃない!
とにかく、ママは朝からの、この事故に疲れ切ってしまったので、
やまんばに通院してもらうことにしたの。
次の朝9時、昨日わかれた、行き止まりのところまで行ったのだけど
やまんばは来てなかったの。もちろん、電話などで、連絡しようのないやまんば。
ママはけもの道を、分け入ることにしたの。
途中、小さな石垣が いくつもあって、
滝の横から、必死でのぼったの。
ブラウスもスカートもどろだらけになって、
サンダルのヒール部分がとれてしまったわ。
また、いきなり、ヘビが降ってきたりしたのよ。
ぼたって。
そして、ようよう登りつめたところに、やまんばの小屋を見つけたわ。
小屋の戸が、ぎぎぎぎーって、開いたのね。
その戸の裏には、クワやカマがいっぱい、ひっかけてあったわ。
もう、ママは夢でもみてるのかって、半泣きだったの。
小屋のまわりには、みかんの皮やバナナの皮など、食事をしたあとがあったわ。
そして、中をのぞきこんだら、やまんばが笑っていた。
正気では、女ひとりで入っていかないような山の中での体験よ。
でも、ママ、それは大分昔のはなしでしょ。
「うん、20年前かな。」
それを聞いてちょっと、ほっとしたわ。
「それが、ちがうのよ。
先週、宝塚駅で、見たのよ。」
ええええええ!!
わたしは、ベロニカ。
ママが先週、見かけた、やまんばは、昔のまんまだったのよ。
身長170センチくらいで、ガリガリだけど、背中がまっすぐで、シルバーのショートヘアなの!
見かけたら、気を付けてね~~~
そっ それが…
まっ まさか…おばさんシリーズ…
いくら”M”でも そのシリーズは
遠慮しとくぅ…(;´д`)
こわいでしょ~~
おばさんじゃなくて、老婆だからねぇ。
キャー(>O<)
そのやまんばは一体歳いくつなの~?
当たりまくりで(違う意味で)優雅な生活してたのかな。
でも、ボーイッシュ♪な感じで背も高くて背筋まっすぐって!
剛力ちゃんみたいってこと(>▽<)
ベリーちゃんのママとは縁があるのかしら・・(ぞぞっ~)
みるくより(お久しぶり☆)
剛力あやめは、やまんばになるのか・・・
しかし、やまんばは、粗食に運動で
かなり、健康そうであった・・・。
ある意味、見習いたいかも・・・。