イカナゴ解禁

わたしは、ベロニカ。

今年もイカナゴの季節がやってきたわ。

ことしも漁獲高が少なくなってきているということで、スーパーでの

争奪戦にママは犬ともたちと繰り出すのよ。

イカナゴは少なくなるに伴って、価格もおそろしく跳ね上がっているわ。

イカナゴのくぎ煮づくりをはじめた4年前の3倍くらいかしら。

垂水の魚屋さんでは1kg　4,000円というから、今年はやめようって人も多いそう。

ニュースではデパートでくぎ煮は100ｇ972円というから、高級肉とかわらないわ。

 

さて、港を出たトラックがどのルートをどの順番にまわって、

そして何時にやってくるかはその時次第。

情報もない中、ママたちは、少しでも早くイカナゴが入荷されるという

コープ安倉店へむかったの。

そして駐車場に車を停めて、降りようとした時、なんと

イカナゴの袋を持った人がわらわらと　でてくるではないの！

ええ～！

去年は1時間は待ったのに！

そして走る犬ともたち。

ママは車のドアがなかなか締まらないで手間取っていたわ。

駆け込んだ犬ともは最後の5パックを握りしめていてくれたわ。

ひとり２パックまでという決まりで、3人。

1パックを手にいれられなかったの。

それにしても、１kg　2980円！

去年より1000円は高いわ！

 

そして、さらにコープ山本店へ向かったわ。

幸い、山本店には、まだトラックがついておらず、行列に並んで待つことに。

それにしても、昨年まで常連だったおばあちゃんたちがいなくなっているわ。

これだけ、価格が高騰しては、仕方ないのかもしれない。

そうこうしているうちに、イカナゴがパック詰めされて配られ始め・・・。

ここでも1人2パックまで。

ところが！

1kg　1980円だというの。

どういうこと？

同じコープで値段が違うなんて。

実は、コープ山本店の人が間違って値札を貼ったというの。

お店の人も、まさかこんなに値上がりしてると思わなかったのね。

で、どうなったかというと、ママたちは1980円で2パックずつをレジで支払って

家路へとついたわ。

そしてコープ山本店はどうしたかというと、損失分を取り戻すために

翌日のイカナゴを1kg　3500円で売ったというのよ。

にぎわっていたはずのイカナゴ売り場はガラガラとなったそうな。

イカナゴは鮮度が命、冷凍しておけるものでもないのにかかわらず。

 

イカナゴをたいて、親戚に送ったりするのはほとんどが70歳以上の人たち。

高齢と価格高騰に伴ってひとりひとりと減っていくのは、寂しいものだわ。

そのうち、瀬戸内からイカナゴを炊く文化が廃れてしまうかもよ。

 

さて、ここからが戦争よ。

一刻も早くイカナゴを炊き上げなくてはならないの。

あらかじめ、軽量しておいた調味料を鍋で煮立てて、イカナゴ投入よ。

「マダムのりこレシピ」は、しょうが・こぶ・ゆず・山椒・しめじ・くるみ

と、他では味わったことのないイカナゴの佃煮仕様なの。

最初たべて、あまりのおいしさに秘伝のレシピを直伝してもらったというわ。

そして、この状態まで煮詰まってからが、鍋ふりの本番よ。

焦がさぬよう、照りがでるよう、マダムのりこ直伝の仕上げにかかるわけ。

材料が多い分、この鍋ふりはたいへんそのもので、2kgを2回戦しただけで

ぐったりと疲れるというわ。

マダムのりこは、この日、2kgを４回戦したというから、

へろへろになったのではないかしら。

 

煮汁がなくなったら、ざるにあけて、うちわで冷ますのよ。

そして、その日のうちに、喜んでくれそうな人へと向けて

発送するのが、毎年春の恒例なのだわ。

今年送ったのは5人。

おすそ分けしたのは3人。

もっと、作っておきたかったけど、ライティングの仕事の締め切りが

近づいていたので、ことしは1日で店じまいよ。

 

わたしは、ベロニカ。

生のイカナゴはとても甘くておいしかったの♪