やまんば

わたしは、ベロニカ。

ママから怖い話をきいて、ふるえているの。

 

それは、うちから見える六甲山の話。

実は、あの山の奥に、やまんばが住んでいるの。

 

やまんばと言っても、ギャルじゃないのよ。

ほんとうのやまんばなの。

130906-10

時折、町中にでてきては、ものすごいスピードで歩いているの。

毎日、滝にうたれて、山を上り下りしてるから、

はがねのように、きたえられた体をした、やまんば。

130906-11

 

 

ある時、ママは宝塚の温泉街を、運転していたの。

130906-14

電柱のかげに、人が見えたから、ゆっくりと徐行して

ほとんど、車は止まっていたわ。

 

そのとき、電柱の陰から、おばあさんが飛び出してきて、

ドアミラーを、おもいっきり ひじ打ちしたの。

130906-12

その瞬間、おばあさんは、大声で

「いいやー、痛い痛い痛い、はねられた~」と叫んだわ。

そのおばあさんが、やまんばだったのよ。

 

ママはやまんばに

「大丈夫ですか?救急車よびましょうか?」と言ったけど

やまんばは「痛い、痛い!」と、叫ぶばかり。

 

ママは、どうぞ車に乗ってください、と、やまんばをうながして

近所の病院へ向かったわ。

 

助手席で、やまんばは、するどくのびた爪で

自分のひじを、がりがりとかきはじめて、

みるみる、皮膚が赤黒くなってきたの。

130906-16

同時に、あかが、ごそごそ落ちてきて、なんだか、ありえない光景だったの。

ママは、どうやって、病院にたどりついたか記憶が

はっきりしない状態で、やまんばを診察してもらったわ。

 

130906-15

 

やまんばは、打撲という診断を受けて、診察室から出てきたの。

ママは、「ちょっと来てください。」と先生に呼ばれたわ。

先生の話は、

「実は、あのおばあさんは、2週間前にも、診察にきたんです。

なんでも、その時は、バイクのハンドルにひじがあたったということで、

運転手の方に送られて、帰って行ったきりでしたが・・・。」

というものだった。

 

130906-17

 

ママは、ぞぉーーーっとして、ちらっと、やまんばを見たの。

そうしたらね、

やまんばは、ニタァ~と笑っていたの。

 

病院を出たところで、ママはやまんばに、保険を使うことになるかもしれないので

いっしょに警察へいっていただけますか、と

 

ママが言い終わるまえに、やまんばは、ひょい、と

おばあさんとは思えない軽い身のこなしで助手席に乗り込んだわ。

130906-18

 

 

事故相談係に案内された、やまんば と ママ。

やまんばは、始終、弱弱しい、老婆を演じていたわ。

先に、待合室へもどったやまんばは、他の事故被害者のおじいさんに

「あんた、泣き寝入りしたら、あかんでえ~

しつこうしたら、ええねん。」とアドバイスしていた。

 

警察では、結局、これは、とてもグレーな事故ということで、

損害保険のGメンみたいな人が、うちに来ることになったの。

 

ママはやまんばを、まず 家に送っていくことにした。

やまんばは、山への道を案内して、行き止まりの、柵をこえて

けもの道に消えていったわ。

130906-19

 

「明日、また病院にいくので、ここに9時にきてくださいね。」

ママの言葉に、返事もしないでやまんばは、見えなくなった。

 

とりあえず、たいしたケガでなかった事に、ほっとしつつも

ママはGメンと会うために、午後からの予定をすべてキャンセルしたわ。

 

Gメンにあらかたの事情を説明するママ。

Gメンはきっぱり言ったの。

130906-20

 

「ですが、

家もない、ばあさんのために、自賠責で通院日数分を

出してやるってのは、どうですかね。」

 

へんなGメンだわ!

やまんばが味をしめて、また同じことして、ひどいケガをしたら、ダメじゃない!

 

とにかく、ママは朝からの、この事故に疲れ切ってしまったので、

やまんばに通院してもらうことにしたの。

 

次の朝9時、昨日わかれた、行き止まりのところまで行ったのだけど

やまんばは来てなかったの。もちろん、電話などで、連絡しようのないやまんば。

 

130906-21

 

ママはけもの道を、分け入ることにしたの。

途中、小さな石垣が いくつもあって、

滝の横から、必死でのぼったの。

130906-22

 

ブラウスもスカートもどろだらけになって、

サンダルのヒール部分がとれてしまったわ。

 

また、いきなり、ヘビが降ってきたりしたのよ。

ぼたって。

そして、ようよう登りつめたところに、やまんばの小屋を見つけたわ。

130906-23

 

小屋の戸が、ぎぎぎぎーって、開いたのね。

その戸の裏には、クワやカマがいっぱい、ひっかけてあったわ。

もう、ママは夢でもみてるのかって、半泣きだったの。

 

小屋のまわりには、みかんの皮やバナナの皮など、食事をしたあとがあったわ。

そして、中をのぞきこんだら、やまんばが笑っていた。

 

130906-24

 

 

正気では、女ひとりで入っていかないような山の中での体験よ。

130906-25

 

 

でも、ママ、それは大分昔のはなしでしょ。

「うん、20年前かな。」

それを聞いてちょっと、ほっとしたわ。

「それが、ちがうのよ。

先週、宝塚駅で、見たのよ。」

 

ええええええ!!

わたしは、ベロニカ。

ママが先週、見かけた、やまんばは、昔のまんまだったのよ。

身長170センチくらいで、ガリガリだけど、背中がまっすぐで、シルバーのショートヘアなの!

見かけたら、気を付けてね~~~

 

inunoegao

4 thoughts to “やまんば”

  1. そっ それが…
    まっ まさか…おばさんシリーズ…
    いくら”M”でも そのシリーズは
    遠慮しとくぅ…(;´д`)

  2. キャー(>O<)
    そのやまんばは一体歳いくつなの~?
    当たりまくりで(違う意味で)優雅な生活してたのかな。

    でも、ボーイッシュ♪な感じで背も高くて背筋まっすぐって!
    剛力ちゃんみたいってこと(>▽<)

    ベリーちゃんのママとは縁があるのかしら・・(ぞぞっ~)

                  みるくより(お久しぶり☆)

  3. 剛力あやめは、やまんばになるのか・・・

    しかし、やまんばは、粗食に運動で
    かなり、健康そうであった・・・。

    ある意味、見習いたいかも・・・。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください