売れに売れるきくいも

わたしは、ベロニカ。

今日は丹波まで

きくいもの売り上げを集金に行くの。

としくんとおにーちゃんを引っ張り出してよ。

とうぜん、途中の川で

ひとっぷろ浴びてからよ。

ところで仕事ができるひとの特徴って

道具のメンテナンスがはんぱないって思わない?

今日は、つくづく思ったわ。

それはまたぎさんの家でのこと。

お会いするのは3回目で、だいぶん打ち解けてくれ

鹿やいのししをさばく道具を見せてくれたわ。

どれもカミソリのようにといであるの。

「プロの道具だわ・・・」と変なことを考えて

またぎさんの口から出る鹿の殺し方の話を

ぼやかすのに精いっぱいだったというわけ。

鹿もいのししも、とにかく一発で仕留めなければ

肉に血がまわって、おいしくなくなるというわ。

そのためやりで心臓横の動脈をついて血を出すそうなの。

ママはすかさず、自分が船釣りにいったときの

大きな魚のしめかたを説明し始めたわ。

「これは漁師さんに教えてもらったんですけど、

よく頭のあたりをナイフで最初にしめるというけれど

あれはだめらしいです。

最初に心臓を止めてしまうと、血がぬけないので

心臓は動かしたまま動脈だけを切って、

心臓のポンプの力で血をぬくんです。

どばどばと出ますよ。」

どばどばって・・・

わたしは、またぎさんの話よりも

ママの話の方がこわかったわ。

 

わたしはベロニカ。

きくいもの集金と今シーズン最後の納品が無事終わったけど

次の収穫量をもっとふやすということだったから、

おばあちゃんは大変だわ。

 

 

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