おならの話

わたしはベロニカ。

ダックスフントのおんなのこ。

とっても生命力のある犬だと言われているわ。

 

どういう意味よ。

 

 

ま、いいわ。

今日はおならの話を聞いてほしいの。

 

おならには「いいおなら」と「悪いおなら」があるのを知ってた?

「悪いおなら」というのはね、腸内の悪玉菌が出すメタンガスなどの

とてもくさいやつ。

 

反対に「いいおなら」というのは善玉菌が出す「水素ガス」

水素ガスは血管から全身へいきわたって、活性酸素を除去したりしてくれるの。

 

きくいもを食べるとおならがとまらなくなるという人が多いけど

それはとても「いいおなら」よ。

 

 

そして「おなら」というと、うちのママにはとても悲しい思い出があるの。

それはね確かママが中学2年生だったかしら。

 

小テストの時間に静まりかえった教室で、生徒の鉛筆の走る音だけがしていたの。

そして悲劇はその時おこったわ。

なんとママの前の席に座っていた「平山君」が、豪快な「おなら」をしたのよ。

 

ぷぅーーーーって。

 

いっせいにみんな振り返って、そして先生までも吹き出して。

ママは平山君がかわいそうだと思って、うつむいて平山君の方を見ないようにしてたの。

 

するとなんてこと!

平山君が振り返ってママを見ていたというの。

そう、おならはママがしたことになってしまったわ。

 

思春期の多感な時期にあまりに悲しい思い出だといえる。

それから、廊下ですれ違う生徒はみんなママを見てニヤニヤしていたというから

さぞかし辛かったことでしょう。

 

え?平山君がどうしたかって?

卒業するまでうちのママを避け続けたそうよ。

そりゃ、殺されかねないものね。

 

そんな悲しい思い出も、はるか昔のことになって思い出すことも

なくなったわ。

とはいえ、おならではないにしても、かばったはずが裏切られるということは

人生でよく起こることだというの。

 

 

今、ママはシニアマンションのコンシェルジュの仕事を楽しんでいる。

なんだか、これまで知らなかった別世界がそこには広がっているの。

 

また設備も高級でロビーラウンジやホールなど見ていて本当に

気持ちいいそう。

 

とくに仕事を上がる前の10時ころの静かなライブラリーでは電灯の灯りが

幻想的に暗闇に溶け込んでいっていて、うーーん、そうね夢の中か映画みたいな景色というわ。

 

夕べ、そんな中を事務所へ戻ろうとしていたママ。

ふとお知らせの掲示物を読んでいる初老の住人に声をかけられたわ。

 

その人はママが勤め始めたころから、気さくに話しかけてくれる一人暮らしのおじいさん。

ニコニコと上品なそのおじいさんをママは嫌いではなかったわ。

 

だけどね、呼び止められて横に並んで立った途端。

なんと、

おならのにおいがしたの。

おならのにおい。

 

 

わたしはベロニカ。

ただ、おならのにおいの話だけど笑いと哀愁とやるせなさに包まれていて

しみじみと聞き入ってしまったわ。

あ、そうそう。

兄は大爆笑よ!

 

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です